和漢墨寶選集

21菘翁 唐詩帖(坤)

在世中は、画家・儒者として声名のあった菘翁も、日下部鳴鶴・巖谷一六の推称以降、最も本格的な書を残した人として評価されている。なかでも菘翁と号した70歳以降の書は、技・心共に充実しきった書境の作が多い。本書は江川吟舟氏旧愛蔵の絶品で、唐詩選を行書をもって乾坤二帖に書したものの内、先に乾を刊行したが、好評であったので更に、坤の全印版を刊行した。ここに菘翁の傑作、唐詩帖が完結したことは喜びにたえない。 ・価格:6,800円+税 ・ISBN978-4-7864-0084-1

22嵯峨天皇宸翰集

嵯峨天皇は日本三筆の一人で、日本歴代の天皇の中でも傑出した書をかいている。さすがに空海と書の道で深い関係にあられたことだけのことはある。嵯峨天皇の筆蹟としては光定戒牒があるが、哭澄上人詩は明治以来双鉤塡墨として軽んじられていたが、決してそういうものでなく、天皇の真蹟として信じてよいものである。飯室切は天皇の真蹟とは断じられないが、まことに帝王的な書き方をした平安初頭写経の名筆である。 ・価格:4,600円+税 ・ISBN978-4-7864-0085-8

23西行法師集

代表作は一品経和歌懐紙であるが、高野山金剛峯寺にある漢字の多い書状も、決して当時に流行した法性寺忠通の流風には染まっていない。その点珍らしく藤原精神を継承した書である。又、今回収録したかな書状などには、藤原的かなを土台としながらその当時らしい「現代」を表現している。すなわち藤原精神を基とした気分の楽なかなであって、さすがに線質が優れている。未詳歌集切は西行の真蹟と考えられる貴重な資料である。 ・価格:4,272円+税 ・ISBN978-4-7864-0086-5

24顔真卿楷書と王澍臨書 (品切)

顔真卿は篆意をもった楷書で新しい一様式を示した。そこには本人の忠烈な気性が内蔵され、まさに楷書の一大天地を開いたのである。代表作の一つにこの建中告身帖があり、その美は荘重の一語に尽きる。本書はそれに清代の碑学・帖学の考証に詳しい王澍が臨書した顔真卿建中告身帖も併せてこれを収録した。顔真卿の雄大さには欠けるとしても真面目にその真を伝えようとしたところに価値がある。園田湖城氏の旧愛蔵品。 ・価格:6,600円+税 ・ISBN978-4-7864-0087-2

25董其昌 聖帝名賢讃 (品切)

明代は、書道が再び復興の兆しを見せたのである。その当時の名家として、董其昌は最も大きな存在であったといえよう。本書は「聖帝名賢讃」という、あらい金塵紙に丁寧な行書をもって書いたもので、手本としては最高の条件を備えている。彼の書には気品があり、日本人にも好まれ性情が豊かなので、観賞用、手本用としても最適なものである。 ・価格:5,700円+税 ・ISBN978-4-7864-0088-9

26藤原佐理 筋切 真名序・仮名序 (品切)

漢字と仮名の調和を調和体というが、本書はそれの代表的作例といえる。しかも、古今和歌集の古写本で、真名序を残しているものは、本書以外にはない。その点でも、文学史上、唯一のものとして尊重されなければならない。本書は、関戸家に残っている部分と、散佚した部分をも求めて撮影し、全文として発表した貴重な資料である。 ・価格:8,700円+税 ・ISBN978-4-7864-0087-6

27懐素 自叙帖

唐代における狂草の大家として、張旭と懐素がいる。その中、芸術性の最も豊かなのは懐素であり、その自叙帖でもある。懐素の草書は、非常に清潔で日本人に適しており、妙に脂ぎったところがない。似ているといえば良寛の草書である。彼独得の空間の自由な、いいかえれば間のいい作風であって、日本人の草書の研究には、欠くことの出来ない名蹟である。 ・価格:7,500円+税 ・ISBN978-4-7864-0090-2

28張瑞図 鳴皋歌

明代における個性的書道の大家、張瑞図が李白の詩一巻を書いた絖(ぬめ)による大巻で、その書風の劇的ともいえる優秀さは、中国書道史の中でも屈指の名巻であるといえる。書体は、行書及び草書を主体としたものであり、その躍動的な運筆は、人目を圧するに足る。このような新資料が新しく出版されたことは、小社としても名誉なことと喜びにたえない。 ・価格:4,500円+税 ・ISBN978-4-7864-0091-9

29小野道風消息覆刻

小野道風は、日本名筆の一人である。しかし、詩文などを書いた真蹟は幾つか残っているが、日常体の消息などは残っていない。これを江戸時代末期森川世黄が「集古浪華帖」中に、道風の消息を十一通収めておさめている。その消息は、大体道風の晩年のものであり、その達筆の中に一種のわびを感じさせるものである。そして、道風自体は和様の第一号の大家であるが、本来、基礎的なものは王羲之に発した唐様の素養があることを示している。稀に仮名を書いたところが混じっており、道風を理解するためには最も大きな資料といえるであろう。本書は、森川世黄によって原本が作られ、出雲路通次郎氏によって戦前、その内容が貴重なため覆刻されたものである。現在はそれも絶版になっており、小社はそれを惜しんで新しく浪華帖から撮影したものをここに発表した。 ・価格:4,500円+税 ・ISBN978-4-7864-0092-6

30正倉院文書

正倉院文書は、奈良時代というものを理解する上に大きな文化的価値がある。上は聖武天皇からの名臣・名僧・写経生などの筆蹟を集め、奈良時代の全貌を把握している。中でも、珍しいのは元来勅封である正倉院文書が、ある時期、民間に出た時があり、それが今日、諸家に分蔵されている。小社は、その中でも筆蹟のすぐれているものを一括掲載をして、その状態を知ることにした。これは小社でなければ出来ない事業の一つであることを誇りとしたい。 ・価格:9,700円+税 ・ISBN978-4-7864-0093-3

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