黄山谷は、沈滞していた当時の書道に革命的な示唆を与えた1人である。その意味では宋代の時代相を表わす代表作である。即ち古典の諸美を蒐めて、意力的な"個性"を創り上げている。本書は唐の劉禹錫の詩を、彼が57歳の時に書いたものである。大字8メートルに及ぶ大巻で、質量ともに彼の傑作のうちにはいる。 ・価格:5,000円+税 ・ISBN978-4-7864-0074-2
本書に"行成"の署名はないが、他の真筆と較べて誤りのないものである。しかも上等の唐の紙を用いた調度的作品であるだけに、行成の書のなかで最も迫力のある傑作になっている。行成とはこのような日本的な美の結晶であったのである。日本の詩人、野相公、菅丞相、紀納言などの詩を書写している。 ・価格:3,200円+税 ・ISBN978-4-7864-0075-9
逸勢の筆とする確証はないが、「人となり放胆」といわれた逸勢の性格と一致する。またこれほど俯仰を最大限に駆使していることは、中国で直接学んだものでなければ到達出来ない境地のように思われる。紙面は楷行草に変化しており、自由らいらく精気渙発として、線活動の一大饗宴場の感を呈している。 ・価格:4,100円+税 ・ISBN978-4-7864-0076-6
明・清の書風のなかでも王鐸はもっとも重視され、我々はその影響を多く蒙っている。彼の舞台は長条幅である。落下する連綿は瀑布を思わせるようで、しかし一字一字の形態はそれぞれの整いをもっている。それは古典の把握から生じている。そのネオクラシズムが快適なのである。 ・価格:4,000円+税 ・ISBN978-4-7864-0077-3
灌頂記は、空海から金剛界と胎蔵界の灌頂を受けた人々の暦名を、彼が手記したいわばノートである。手記であるので塗沫改竄を自由に行ない、それが儀礼書などには見られない1一つ景観を呈している。大体において線が太く大胆不敵な魄力が漲っている。そのため本書の引き合いに顔真卿の祭姪帖、争坐位帖が言及されている。 ・価格:3,883円+税 ・ISBN978-4-7864-0078-0
大雅堂の画人としての評価は絶対であるが、その書も近来とみに声望の高いものである。本書は、大雅の唐詩帖という名で伝存されたもので、大雅が弟子に書き与えた楷書の手本である。その書は楷書という不自由な枠を超越し、或時は紙面を切り裂く筆鋒のさえを見せ、そして或時は漂々として白雲に遊ぶ感がある。単に楷書の手本を超えた、書の真髄がここにある。 ・価格:5,300円+税 ・ISBN978-4-7864-0079-7
良寛が最も得意としたのが草書である。草書は、二王を始め張旭・懐素・孫過庭等を学んだようであるが、就中懐素の自叙帖の益を最も受けているようである。しかし、本書を一覧すれば自明であるが、自叙帖を踏まえながらも、既に独自の書境が確固として展開されている。本書は、良寛の所蔵家として著名な阿部家・良寛記念館・解良家の蔵品中の逸品を収載している。 ・価格:4,800円+税 ・ISBN978-4-7864-0080-3
在世中は、画家・儒者として声名のあった菘翁も、日下部鳴鶴・巖谷一六の推称以降、最も本格的な書を残した人として評価されている。なかでも菘翁と号した70歳以降の書は、技・心共に充実しきった書境の作が多い。本書は江川吟舟氏旧愛蔵の絶品で、唐詩選を行書をもって乾坤二帖に書したものの内、乾を全印したものである。数ある菘翁の行書作の代表となるべきものである。 ・価格:6,800円+税 ・ISBN978-4-7864-0081-0
本書は、草体の草稿本であるが、空海40歳の劇蹟である。輝くばかりの明快な線質は、空海の偉さを知る上に欠くことのできないものである。幸いにして比較的、多量に残っている。本書編集には、最善を尽し神光院本、高松宮家本、益田家旧蔵本、松永記念館本等と、大正12年に焼失した岩原家本も良心的に復元して加えたので、世に誇るべき集大成本となったといえるであろう。 ・価格:6,800円+税 ・ISBN978-4-7864-0082-7
日本第一といわれる書家空海は、中国の妙技、俯仰法を駆使した大家でもあった。空海の諸種の真蹟と比較して同筆と考えられるものに、崔子玉の座右銘の断簡がある。これは俯仰法をもって書いた大字として、稀有の劇蹟である。その雄大にして、神秘性に富んでいる様は、単なる"書"とは決して呼べない。本書は、その残存せる断簡四十四字を、ここに本文に従い収録した。その他御物本二種を含む空海の真蹟四種を収めた。 ・価格:4,563円+税 ・ISBN978-4-7864-0083-4