本書では、楷書の名品を厳選して紹介するとともに歴史的な展開をふり返り、各々の例にみる特徴について解説します。中国・唐時代に完成されたとする楷書の名品たちが、いまなお現代人を魅了するのはなぜか。筆法・造形の観点からは、「整った楷書」とはどのようなものであり、如何にして「書きやすさ」と「読みやすさ」の合致を極めたのか、という疑問について分析します。各々に見出された格調高き造形規範のコンセプト。そしてこれに基づいた「楷書」の造形的な魅力へと迫ります。