唐時代に能書として活躍した顔真卿の書法は、中国・宋時代以降の書法史においても広く伝播、継承されている。 本書では、王羲之の書法についてまず解説し、さらに王羲之の書法に頼らずそれを改良した、彼の雄勁な書表現の魅力について、詳しく解析する。主要作品の中から、彼独自の筆法およびその特徴が明確に見て取れる具体例を抽出して、新たな視点から、実技的解説とともに検証する。 また中国ばかりでなく日本へも大いに影響を与えた書法であることにも触れて、顔真卿の書の特質に迫る。